ミクシィ大大暴騰中

  ミクシィの株価急上昇が止まらない。

 2013/12/10;                                                    12月9日も値幅制限のストップ高となり、株価終値は前日比1000円(15%)高の7560円と年初来高値を更新。ストップ高は4日連続、年初来高値の更新は9日連続だ。  奇妙なのは、業績が明らかに苦戦している中で株価が急上昇していることだ。 かつての収益柱だったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「ミクシィ」の広告収入は減少の一途をたどっており、2014年3月期の売上高は80億円(前期比36.7%減)、営業赤字は16億円(前期比41億円の悪化)になる見通し。多くのネット関連銘柄の中でも業績の低迷は際立っている。 6月に就任した朝倉祐介社長の下、事業構造の改革を進めている最中で、海外拠点閉鎖、人員削減などのリストラを進めると同時に、50億円規模の投資枠を設定し、新事業創出を目指しているところだ。

 そんな中でミクシィ株が買われる要因になっているのが、10月10日にリリースしたスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」だ。iOS版のユーザー数は11月30日時点で30万人、12月9日時点で40万人を突破しており、ダウンロードの伸びは加速している。11月5日に開始したアンドロイド版の事前登録は12月6日に2万件を超え、12月中旬に予定している正式リリース後のヒットを予感させている。 モンストはミクシィと、元カプコンの岡本吉起氏がタッグを組んで制作したアクションRPG。1人で遊ぶこともできるが、ブルートゥースで通信をしながら最大4人までが同時参加できる点が新しいところ。10代の若者の間でブームが広がりつつあり、高校の同級生、部活の仲間などが電車での行き帰りなどに楽しんでいる。 「ガンホー・オンライン・エンターテイメントの『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』と同様、モンストが大きくヒットすることを想定した買いが入っていると考えられる」とエース経済研究所の安田秀樹氏。12月中旬のアンドロイド版リリース後、ダウンロード数が順調に伸びれば、株価上昇はしばらく続くかもしれない。

 ただ、モンストがミクシィを赤字から復活させる強力な切り札になるかどうかはまだわからない。モンストはアップルのアプリ配信サイト「アップストア」の売り上げランキングで、現在30位周辺。まだ上位に入っているわけではない。 月5億円以上の課金収入(年商60億円)が見込めるようなドル箱タイトルとなるためには、一般的には「アップストア」と米グーグルのアプリ配信サイト「グーグルプレイ」の両方の売り上げランキングで10位以内に入ることが必要とされている。 クレディ・スイス証券の中安祐貴氏は「アンドロイド版がリリースされてから1カ月くらい経って、売り上げランキングがあまり上がらないようであれば、投資家に持たれている過度な期待が剥落する可能性がある」と指摘する。 

ミクシィ株の急騰ぶりは、かつて盛り上がったガンホーやコロプラの上昇ペースをもしのぐが、これはあくまで期待値。まだ現状では、モンストのヒットが確定しているとは、とても言えない。第2、第3のパズドラを目指そうと努力中の数多くのアプリの1つに過ぎない、との見方もできる。 勝負は12月中旬のアンドロイド版の投入後に行う予定の積極的なプロモーションが成功するかにかかっている。投資家の期待に実体が追いつくことはできるのか。間もなく、その答えが表れる。